短歌とは言えない

  • 短歌とは言えない  二〇一二年 七月号   朴 貞 花  

ありのままを書いた

評者は断言する

リアリズムがあると言えるのか

疑問です

短歌とは三十(みそ)(ひと)文字(もじ)の定型詩

行分け作品もこれに準じる

新日本歌人は短歌の文芸誌だ

短歌とは排悶の文学

感動を抒情を

形式に当て嵌める

言いたいことを述べる場ではない

例えば反対を訴える事は

抒情とは言えない

被害の悲しみを

韻律と定型の中に

定型の三十一文字に装う(すべ)

ゆとりがなかった私

突き上げる思いと

 飢えが激しくて

師の教えが蘇る

上手い歌より良い歌を

花鳥風月より

生のいとなみの「具体」を

一番言いたい事を、端的に、

率直に、普通の言葉で

自分自身の歌を詠め

短歌は

「いかに生きるか」だ

選のあとに
短歌とは三十一文字の定型詩
行分け作品もこれに準じる
新日本歌人は短歌の文芸誌だ
               朴 貞 花
この歌は反語であって、作者の言いたいのは、これと反対の事だ。定型に従属せず、存分に作歌してみたいという考えは私にもある。作者は真剣に自由律を作った。植民地、差別への怒りを込めて―。忽ち反論が上がった。長すぎる。リアリズムでもない。等々批判された。作者は傷つきながら闘った。表現を鍛えた。
一番言いたい事を、端的に
率直に、普通の言葉で
自分自身の歌を詠め
短歌は「いかに生きるか」だ
              
これらは彼女の血の滲むような闘いの結実である。

☆ 選者の言葉が私の涙腺を刺激した。その後も書き続けることが出来たのは、この選者の有難く嬉しい言葉のお蔭でであった。
また、友人の梅田さんも、リアリズムがないと評を下した人の他の作品の読み間違いも指摘して、私への応援の文章を書いて下さった。
何時ものことである。辛い時、落ち込んだ時、素晴らしい人が現れて、私を応援して下さる。振り返ってみると、無力な私が今日まで生きてこられたのは、周りに助けて下さる人がいてくれたからであった。最近の私は、不安感でいっぱいになり、どうしょうもない状態であった。
突然、千葉から会おうとの電話があった。横浜まで来ると言う。お土産を下さり、大好きなお寿司をご馳走して下さり、愚痴を一杯聞いて下さり、素敵なショールまで買って、プレゼントして下さった。日比さん、この度もお世話になり有難うございました。

批判された行分け作品


大韓帝国皇太子英親王李垠伝  十月号(十月集に)二〇一一年               



この腕を斬り落とされようと


「日韓併合の署名には応じない」


皇帝高宗は最後まで拒否をした



日本の横暴を訴え


万国平和会議に密使を送り


皇帝の地位を奪われた高宗   



高宗の末子の李垠は十歳


軍服を着せ留学だと


日本に連れ出した伊藤博文    


天皇から謝礼金を貰った



高宗の突然の崩御は毒殺という


民衆の怒り


全土に拡大した三・一独立運動 



教会に村人を


閉じ込めた日本軍


この子だけは助けてと叫ぶ母の眼前で


子供の頭に銃剣を突き刺す



李垠の婚約の破棄を命じ


梨本宮方子との強制結婚


妹の徳恵・従兄の鍵にも


日本人との結婚が待つ



十歳の李垠の留学は人質


陸軍幼年学校・陸軍大学校


陸軍少将・陸軍中将と


天皇に仕える道だった



敗戦後は無国籍の平民と


放置された李垠


五十六年目の帰国は


祖国の土を自分の足で踏めず


意識不明のまま


ついに戻ることはなかった


居間の網戸にしがみ付いて、何時までも泣いていた蝉、独り居を慰めに来てくれたのだろう。f0253572_22113062.jpg



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by pcflily | 2014-09-20 22:14 | アリランエッセー | Comments(2)  

Commented by Takeshi Nimura at 2014-09-21 11:13 x
「短歌」とはという定義を声高に主張しようとするのは、形にこだわり進歩を認めない保守主義者の自己保身の現れです。時の流れとともに、価値観も定義も変化することを保守主義者は認めようとしません。CFさまの歌には朝鮮民族への強い憧憬と回帰の心、そして矜持が込められています。批評者は表現や形式に異議を唱えるのではなく、作者の魂が凝縮・結実した表現と感性を評価すべきではないでしょうか。
Commented by pcflily at 2014-09-21 15:48 x
有難うございます。前を行く人の後をついてゆけなくて、向かい風を今日も受けています。一人で立ち向かう知力も体力もないのに「ドン・キホーテ」を思い出します。

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