饒舌

 饒舌

客のなき見せに一人踊りいるジャズを鳴らして眉うすき女

酌み交わすグラスの影にちらほらと裸(うち)なる心見えつ隠れつ

煙草吸う男の仕草見つむれば乳房乞いいる赤児の如し

酔うたとて歌い踊りて饒舌の後にあふるる涙止まらず

振り向けば今開かむとする花のごと少女となりし吾子と眼のあう

声あげて浜辺にはしゃぐ吾子ふたり罪深き母の心気付かず

生計(たつき)たつる術と思いてこらえきしを客の罵声にあらがいし今宵

夢は夢生計はきびし夕されば酒と饒舌と笑顔を切り売りす

☆実家で建ててくれた新築の一戸建てに半年も住まずに、家出して、上京して降り立った場所は町田市だった。1月の早朝の駅前は通勤の人で一杯だった。寒さを凌ぐために駅の地下道に立っていたが、行き交う人の眼が自分たち母子に注がれるのに気が付いて、商店街を徘徊していて、「子供可・平和荘」の求人募集の張り紙を見つけた。探し当てたビルの中にたどり着いた時は、店内には徹夜で麻雀をしている男達がいた。店主が来るまで、待てと言われ、寒い街頭に子供を連れ出せないと思い待たせてもらった。
いくつもの店舗を持っていた老舗の社長は、私に面接することもなく、子供を連れているから、信用できると雇ってくれた。その日から、4畳半のワンルームをあてがわれ、仕事を始めた。
私は、麻雀の牌を見たこともなく麻雀というゲームがあることも知らなかった。掃除とお茶を出すことが主な仕事なので、私にも出来る仕事だった。勤務時間が長いので、店員が長く続かなかったそうだが、出かけることを好まない私にはぴったりであったと言える。
2年後、この店を買い取ったことで、町田市の住民を33年続けることになった。自分の意志で生きることを決め、実現することになった。
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by pcflily | 2013-12-15 13:04 | 貞花の短歌『身世打鈴』 | Comments(2)  

Commented by 新村 猛 at 2013-12-26 08:30 x
子どもの将来のために新築の家を飛び出し、見知らぬ土地で、親子三人で暮らす厳しさは如何ほどだったのでしょうか。大黒柱が病で伏さぬよう最大限努力して日々をお過ごしだったはず。お子様が二人とも独立され、今となってはお孫さんの世話をするのが楽しみなのではないでしょうか。饒舌という題の8首の歌に熟語を当てはめてみました。「孤独、猜疑、母性、欺瞞、処女、悔恨、憤怒、虚飾」適切な言葉とは言えませんが、心の奥底に流れる悲哀が溢れ出ています。悲観的な物の見方ばかりでは人生が暗く貧しくなります。人籠りではなく、外に出て語り継がなくてはならないことがあるはず・・・・千歳飴を持ったお嬢さんが凛々しいですね。
Commented by lily at 2013-12-26 13:40 x
新村 猛さま
コメントを有難うございます。私の駄文を読んで下さる唯一の方でしょうか?コメントを頂けることは本当に嬉しいことです。
無事に日々の暮らしを送ることに精一杯であることは、40年前も現在も全く同じです。外との接触をすると疲れ果てます。
それでも、昨日は新橋まで出かけました。
祖国平和統一協会に関わる方で、朝鮮の統一を、信じ、現役で行動している方です。最近の私の「行わけ作品」を読んで下さって会いたいとの連絡があり、私の明日が短いことを考えておりますので、思い切って出かける気持ちになりました。何年振りかに同胞に私の思いを伝えることが出来た気がしました。小さな居酒屋さんに入り、二人で、生ビールも飲んできました。昔はビールは良く飲んでいましたが、本当に、久しぶりのジョッキでの生ビールでした。

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